高まるPMの負荷を「でじたる女子」活用で軽減。メンバーも感化された高い責任感と自主性 / コベルコシステム株式会社さま

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コベルコシステム株式会社さまでは、得意先支援業務においてプロジェクトマネージャー(PM)に集中しがちな負荷の軽減が大きな課題となっていました。その課題解決のため、MAIAが育成した女性デジタル人材「でじたる女子」が2023年より参画。PMが抱えていた一部業務を請け負い、プロジェクトを支援しています。

今回はERPソリューション本部の麦倉さま、大桐さま、岩崎さまに、本プロジェクトの取り組みの背景やでじたる女子の業務に対する印象などについてお聞きしました。

ITサービス全般の支援を行うコベルコシステム

── はじめに、貴社の概要と業務領域について教えてください。

麦倉さま コベルコシステムは、1987年の設立以来40年近くITソリューションの企画・設計・開発・運用を一貫して手掛けています。株式会社神戸製鋼所(以下、神戸製鋼)の情報システム部門を母体としており、2002年には日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)の資本参加を受けました。現在の資本構成は日本IBMが51%、神戸製鋼が49%です。主に製造業のお客様を中心にITサービス全般を支援しています。

弊社の強みは、神戸製鋼のものづくり・製造業の知見と、日本IBMの優れたITノウハウを持っている点です。両者を掛け合わせる形で、業務アプリケーション、ミドルウェア、インフラまで含めてワンストップで提供しているのが特徴です。

私が所属しているERPソリューション本部では、SAPソリューションを中心に、企画・設計などの上流から保守・運用に至るまで幅広く提供しています。そこでのSAPソリューション領域のプロジェクトで今回、MAIA様にご支援をいただきました。

コベルコシステム株式会社 ERPソリューション本部 クライアントビジネス部 部長 麦倉敬之さま

プロジェクトマネージャーに集中する負荷の軽減が急務に

── 「でじたる女子」人材活用の取り組みは、2023年にスタートしました。当時、どのような課題に直面していたのでしょうか?

麦倉さま 最も大きな課題は人材不足でした。恒常的な課題として、特にプロジェクトマネージャー(PM)などのプロジェクトを管理し、リードする人材が抱える負荷が非常に高くなっていたのです。

PMが抱える業務を分解してみると、いわゆる管理・統括に必要な庶務業務が多数含まれていました。そこで、これらの業務に対応できる人に加わっていただいて負荷を分散させ、PMの負荷を軽減できないかと考えました。

── これまでに、PMの負荷軽減に対して何か試された解決策はありましたか?

麦倉さま 当然ながら、まずは社内の別のメンバーに業務を渡すことを考えました。新人や若手が研修を終えたタイミングで、PMO的な業務を任せることもあり、それは今でも行っています。

ただし、若手にはこれからどんどんSAPプロジェクトで活躍してほしいですし、プロジェクトの本流の経験を早く積ませたいという思いもあります。それなら外部にその道を探してみてはどうかということで、MAIA社にご相談させていただくに至りました。

「でじたる女子」を切り札に。期待と綿密な受け入れ準備

── 「でじたる女子」人材の活用は、どのようにはじまったのでしょうか?

麦倉さま 弊社パートナーを通じたMAIA代表の月田さんのつながりをきっかけに、「でじたる女子」人材の活用検討がはじまりました。

どの業務をお願いしようかとさまざま検討し、最終的には一番の課題であったPMの負荷軽減の領域としました。MAIA社からも、「PMO業務は豊富な経験があり、一番得意な領域です」とお聞きしたことも決め手になりました。

── はじめての取り組みということで、不安に感じていたことはありましたか?

麦倉さま 実力がいかほどかは、やはり気になりましたね。また「でじたる女子」は、女性がそれぞれ可能な時間のなかで働ける機会を提供することで、労働力不足を解消するという側面もお持ちです。コンセプトは非常に素晴らしい一方で、いざ業務をお願いするとなると、その時間的な制約がプロジェクト運営の制約にならないかという点も、懸念としてありました。

岩崎さま 今回プロジェクトに参画いただいた2名の方は、それぞれ時短勤務をされています。ひとりが午前、ひとりが午後と、勤務時間が分かれてしまうため、はじめは不安もありました。そのため受け入れ時には、まずは問題なく対応いただけそうな業務からお願いすることにしました。

コベルコシステム株式会社 ERPソリューション本部 ビジネスエコシステムセンター SCMグループ 岩崎隼也さま

── 受け入れのために、具体的にどのような準備をされましたか?

岩崎さま 作業の引き継ぎを行う際には、弊社で作業手順書をつくってお渡ししました。また、午前と午後で担当者が異なるため、お二人の間で認識のずれが生じないよう、必要に応じてWeb会議を設けて引き継ぎを行う運用としました。お二人の調整がつくときは同時参加、難しいときはどちらか1名の方に参加いただいて、もう1名には録画を見ていただく形式です。こうしたWeb会議を、新しいタスク発生時に都度行っていました。

得意先支援におけるさまざまな業務をサポート

── 業務内容について、その後変化はありましたか?

大桐さま 当初はある1社のお客様のプロジェクトのサポートをお願いしていましたが、問題なく遂行いただけていることを受けて、2社、3社と増えていきました。さらに弊社内の管理業務なども支援いただくようになり、業務の幅は格段に広がっていっています。

コベルコシステム株式会社 ERPソリューション本部 ビジネスエコシステムセンター 会計グループ長 大桐慶久さま

岩崎さま お願いしている業務の一例としては、50名規模が参加するプロジェクトに対して、内部の週次会議用の議事録フォーマット作成や、お客様への報告資料につながるようなフレームワークの準備などがあります。また、お客様からの貸与端末における月次のセキュリティパッチ対応のアナウンスや、都度発生するSAPユーザーのパスワード初期化依頼などにも対応いただいています。これらの業務を通じて、私たちの得意先であるお客様への支援に関わるサポート業務の一部を担っていただいています。

メンバーが感化されるほどの責任感と自主性

── 実際に「でじたる女子」人材の働きぶりを見て、印象的だったことはありますか?

岩崎さま 基本的には、お願いした業務の作業手順書をこちらで作成して提示していたのですが、そこに含まれない部分については、付随する手順書を独自につくって連携してくださっていたので大変驚きました。

麦倉さま そういった取り組みを、自主的に行う姿勢が印象に残っています。私たちは当初、こちらでがっちりと手順書を固めて、その通りにやってもらうものかと思っていました。でも「でじたる女子」のお二人は、自ら疑問点の確認を行い、手順をアップデートするといった関わり方をしてくれました。業務内容の理解のためにかなり踏み込んだ質問もいただきますし 、「このように改善できないでしょうか?」といった提案もいただきます。こういう仕事への関わり方ができるんだなと、安心感がありました。

大桐さま 業務の説明に対して、いつもたくさんの質問をしてくれますよね。それは、業務をしっかりと自分のものにしようという思いが強いからだと思います。確認の際も「ここまでは理解していて、ここからが不明です」という形で聞いてくださるので、非常に助かっています。

麦倉さま お二人の責任感の強さに感化され、弊社のチームメンバーのマインドも醸成されるという副次的な効果がありました。見習うべき責任感の持ち方を見せていただき、チームに良い影響を与えてくれました。

── 午前と午後の交代制がうまくいっているのは、どのような要因があると思いますか?

麦倉さま 二人の間で情報共有のために日報を付け合っているそうで、それも役立っているのではないかと思います。

当初私たちが不安を感じた点としては、お客様対応においては一貫した対応や説明が必要であるという点です。午前と午後できちんと引き継ぎを行い、一人の人格として筋の通った対応をできるかどうかが重要でした。そういった課題に対して、自ら方法を考えて対応いただけたので、非常にありがたかったです。

── そのような姿勢もご評価いただき、お任せいただく業務が広がっていったのですね。

岩崎さま そうですね。プロジェクトの特性上、英語で対応いただく必要があるものをご相談したときも、「英語は無理です」ではなく「やってみます」と。工数がかかる作業だったので、トライしていただけて非常に助かりました。

麦倉さま 業務をお願いした際に、「それは難しいです」という返答をいただいたことが一度もないんですよね。常に柔軟に、且つ経験のない業務でも挑戦するマインドを持っていらっしゃるのは、本当にすごいと思います。

安心感と信頼で、真の「プロジェクトの一員」へ

── プロジェクト開始から2年ほど経過しました。課題であった人材不足・負荷軽減において、どのような改善がありましたか。

麦倉さま 確実に改善したことを実感しています。外部の方に入ってもらっても、毎回フォローしなければならない状況だと、かえって工数がかかってしまいますが、「でじたる女子」のお二人にはほとんどの業務を安心してお任せできます。プロジェクトチームの一員として、各メンバーから直接二人へ依頼がいくような流れもできてきました。PMを介さずにPMO業務を進めてもらえるため、課題であったPMの業務負荷もかなり減らすことができています。

── 「でじたる女子」人材を活用する魅力について、改めてお聞かせください。

麦倉さま 働き方が多様化するなかで、労働力不足を国内の人材で満たしていくことも重要です。この「でじたる女子」という取り組みは、その一つの打ち手として非常に良い取り組みだと実感しました。依頼した業務において、期待していた通りの成果が得られていますし、働く時間に制約があるからこそ、そのなかでどう効率的に回そうかを考えるきっかけにもなりました。

── 今後「でじたる女子」人材に期待することや、貴社の目指す展望についてお聞かせください。

大桐さま まだ実現していない支援領域として、SAPでの定期作業やテストなど現在弊社内部メンバーで対応している領域についても、今後お願いしていきたいと思っています。

麦倉さま 挑戦するマインドと責任感を持った「でじたる女子」の方にプロジェクトの一員として加わっていただくことで、チームの士気も上がり、お客様からの評価も変わってくると思います。

お客様のニーズの変化としては、SAPのテストや教育の領域でAIを組み込んだツールが普及しつつあるなかで、それらのツールを使いこなせる「人」のニーズが高まっています。それらのツール活用と私たちの業務をうまく組み合わせ、コストも含めたメリットを創出して、良い形でご一緒できる形を今後模索していきたいですね。

取材は2025年10月、コベルコシステム株式会社さま本社にて

 

◆「でじたる女子プロジェクト」について
MAIAでは日本全国で地方自治体や企業とのコラボレーションを推進し、RPAやSAP、WebデザインなどのITスキル育成・就労支援を行っています。また、プログラムの一部コンテンツについては、個人の目的やペースに合わせて学習できるようサブスクリプション型の「でじたる女子+(プラス)」にて個別に提供を行っています。

 

でじたる女子プロジェクト 公式ページ https://digital-women.maia.co.jp/
でじたる女子+ 公式ページ https://digital-joshi.maia.co.jp/

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