専業主婦からITコンサルタントへ。10年のキャリアブランクを越え、取り戻した仕事の楽しさ ─ でじたる女子プロジェクト「Cosmosta+」小泉真希子さん

  • リスキリング・就労支援
一覧に戻る

MAIAでは、女性がライフスタイルの変化に影響されずに自分らしく働きつづけられるよう、「でじたる女子プロジェクト」を通じてスキル習得の支援を行っています。今回は、約10年のキャリアブランクを経て、長野県佐久市で開催されたでじたる女子プロジェクト「Cosmosta+」でリスキリングに励み、現在株式会社ライフ&ワークスで正社員として働く小泉真希子さんにお話をお聞きしました。

小泉真希子さん
銀行で事務と営業を経験後、育児に専念するために専業主婦に。家族の仕事の都合に合わせて長野県佐久市に移住したタイミングで、「Cosmosta+」に参加。SAPコースを修了し、現在は株式会社ライフ&ワークスで正社員として勤務。

Cosmosta₊に参加する前のお仕事や、ご自身の状況を教えてください。

大学卒業後に銀行に就職し、事務と営業を経験しました。バイクに乗って現金を届け、手作業で処理を行うような、今思えばかなりアナログな世界です。銀行は独自のシステムを使っているため、一般的なPCの扱いやITツールに触れることもほとんどありませんでした。

仕事自体はとても楽しく、やりがいもありました。事務の仕事でも、なるべく要領よくタスクをこなせるように考えて取り組むのが好きでしたし、営業の仕事でも、お客様に頼りにされている実感がありました。ただ、やはり営業成績が求められるため、昼休みもままならず、夜遅くまで働き、休日も出勤するような生活を送っていたので、出産後もこの生活を続けるのは難しいだろうなと感じていました。その予想通り、出産を機に退職し、転勤の多い夫に帯同する形で約10年間、専業主婦として子育て中心の生活を送ってきました。

Cosmosta₊に参加する前に持っていた悩みや不満はありますか?

10年間子どもとの時間を大切にしてきた一方で、社会復帰できるのかという不安はずっと感じていました。大学時代の友人たちも、ほとんどが子育てしながら働き続けていましたし、転職が当たり前になる前の時代だったこともあり、「私のキャリアはもう戻ってこないかもしれない…」と思わざるをえなかったんです。育児の合間にライターの在宅ワークを試したこともありましたが、とても不安定で続けるには至りませんでした。

そんなとき、夫の転勤がなくなり、長野県佐久市に移住することになったんです。子どもたちも入園・入学を迎えたこともあり、「今が仕事をはじめる良いタイミングかもしれない」と考えるようになりました。ただ、佐久市にはそもそも就職口が少なく、コロナ禍での学級閉鎖や休園が相次ぐ中では、外で働くという選択肢も現実的ではありません。どうしようかと思っていたときに、ニュースや友人の話で「テレワーク」という働き方を知り、興味を持ちました。

Cosmosta₊に参加したいと思った理由は何ですか?

Cosmosta+を知ったのは、市長のX(旧Twitter)の投稿がきっかけです。市が推進しているなら安心できるかも、と思いましたね。チラシに並んだ「テレワーク」「スキルアップ」「移住者歓迎」というキーワードに、まさに今の私が求めているものだと直感しました。

もちろんSAPもIT業界も未知の世界なので、不安はありました。でも、説明会での雰囲気やこういったインタビュー記事を読んで、「私にもできるかもしれない」と背中を押されたんです。また私自身、銀行勤務時代には部署替えの度にいろいろな仕事を覚えてきた経験があったので、「新しいことに飛び込んで吸収する力はあるのかもしれない」と自分を信じて挑戦してみることにしました。

学習の中で印象的だったことは何でしょうか?

SAPの学習は、はじめこそ動画の画面遷移に慣れなくて戸惑うことも多々ありました。長い間PCにほぼ触れずに来たので、画面の動きや数字の変化を追うだけでも大変でしたね。でも、森山さん(MAIA取締役)の説明が分かりやすく、親しみやすい雰囲気だったので、「頑張ってみよう」と自分を奮い立たせて学習を進めました。

「やるしかない」と心を決めてからは、下の子が幼稚園に行っている平日の9時〜13時を「勤務時間」として確保し、土曜の夜にも時間を取るようにして、約4か月ほぼ毎日学習時間をつくりました。キャリアブランク期間が長かったので子育てモードになってしまっている身体をならすために、「今は仕事中なんだ」と自分に言い聞かせながら習慣づけをしたんです。

正直、はじめのうちは「途中で脱落してしまうのでは…」と不安もありましたが、分からないことがあれば戻って確認し、少しずつ進めていくうちに、内容もきちんと理解できるようになっていきました。

同期の方々とは、どのようなコミュニケーションがありましたか?

明るくて前向きな方が多く、自然と連絡を取り合うようになりました。「仲が良い地域の方が合格率が高い」とお聞きしたので、みんなで自主的に市の施設を借りて一緒に勉強したりと、とても活発でしたね。勉強熱心な同期の皆さんがいたからこそ、私もモチベーション高く学習に取り組むことができました。

実はCosmosta+に参加する前は、「1人で黙々と学ぶのかな」と思っていたので、学び合う仲間ができたことは私にとっても大きな変化でした。移住してきたばかりで佐久市にほとんど知り合いもいなかったですし、あまり社交的な性格でもなかったのですが、皆さんにいろいろと誘っていただくうちに、自ら率先して施設の予約をとるほどになりました(笑)。

現在の働き方や業務の内容について教えてください。

現在はライフ&ワークス社で時短勤務の正社員として働いています。インターネットで「SAP女子」と検索すると上位に出てくるので、ライフ&ワークス社のことは以前から知っていました。「こんな風に応援してくれて、働く人に寄り添った環境をつくろうとしてくれる会社があるんだ」と憧れていたので、正社員採用が決まった時は、とても嬉しかったです。

入社後は、関連会社オデッセイ社の新卒社員と一緒に研修に参加し、人事領域の専門知識やSAP SuccessFactorsの使い方、カスタマイズなどについてみっちり学びました。Cosmosta+で学んだのは在庫管理・購買管理周りなので、同じSAPでも領域としては異なりますが、基本的な操作感や考え方は同じなので、学んだことをベースとして活かすことができました。

現在は、自社テンプレート(Ulysses)の機能拡張の一環として、給与業務で利用効果が高いと想定される機能の設計・開発・テストを担当しています。ちょうどこの4月からは新規導入案件にも参画し、導入効率化ツールの開発に携わっています。

小泉さんのデスク環境。PCの他にモニターも用意し、リモートでの勤務に適した環境に

プログラムを触るという、1年前には想像もしていなかったような業務に携われるようになり、「まさか私がここまでできるようになるなんて…!」と日々驚いています。ブランク期間が長かったので自分でも気づいていませんでしたが、仕事に飢えていたのかもしれません。開発まで任せてもらえるようになり、着実にスキルが磨かれていく実感もあって、今は大きなやりがいを感じながら働いています。こういった開発業務に向いている可能性に気づけたことは、自分にとっても新しい発見でした。

Cosmosta+参加、そしてライフ&ワークス社入社の前と後で、働き方はどう変わりましたか?

在宅での時短勤務のため、生活スタイルを大きく変えることなく働けています。ライフ&ワークス社にはフレックスや中抜けの制度があるため、それらを活用すれば学校行事にも参加できますし、無理なく育児と両立することができます。会社の方にも「行事参加を絶対に減らさないでね」「子どもに負担をかけないように働いてね」とおっしゃっていただけるので、本当にありがたいですね。

何より嬉しかったのは、子どもたちが私の働く姿を見て「お母さん、かっこいいね」と言ってくれることです。長男は会社のファミリーデーにも参加してくれて、パソコンに興味津々のようでした。自宅でも、次男に話しかけられたときに「仕事中だからちょっと待ってね」と言うと、「もう、お母さんは本当にお仕事大好きなんだから!」って笑いながら言うんです。私が楽しく働いている姿を見て、きっと子どもたちも「働くって素敵なことなんだな」と感じてくれている気がします。

ファミリーデーでの様子

今後、挑戦してみたいことはありますか?

今後は、導入支援の提案や説明など、今よりもう一歩先のフェーズに挑戦したいと思っています。また体系的な資格学習などにも取り組むことで、自分の中で学びを整理し、理解を深めていきたいです。

やはり未経験でITの仕事に就くのには、それなりのハードルがありますし、田舎ではまだまだITの仕事もテレワークの仕事も多くはありません。そんな中で、望む形で正社員採用していただけたライフ&ワークス社に貢献できるように、早く一人前になって恩返しがしたいですね。

最後に、受講を検討している方へメッセージをお願いします。

新しいことを学ぶには時間も労力も必要で、大変なこともたくさんあると思います。でも、やった分だけ確実に自分に返ってくるものですし、知識だけでなく「やり切れた!」という自信が、次の挑戦への後押しにもなります。だからこそ、まずは何かひとつ、挑戦してみるのがおすすめです。キャリアにブランクがある方もIT未経験の方も、自分の可能性を信じて、ぜひ挑戦してみてほしいです。

 

◆「でじたる女子プロジェクト」について
MAIAでは日本全国で地方自治体や企業とのコラボレーションを推進し、RPAやSAP、WebデザインなどのITスキル育成・就労支援を行っています。また、プログラムの一部コンテンツについては、個人の目的やペースに合わせて学習できるようサブスクリプション型の「でじたる女子+(プラス)」にて個別に提供を行っています。

 

でじたる女子プロジェクト 公式ページ https://digital-women.maia.co.jp/
でじたる女子+ 公式ページ https://digital-joshi.maia.co.jp/

一覧に戻る