
MAIAでは、女性がライフスタイルの変化に影響されずに自分らしく働きつづけられるよう、「でじたる女子プロジェクト」を通じてスキル習得の支援を行っています。今回は、とっとりリモートワーカー育成・実践事業(鳥取でじたる女子プロジェクト、通称「とりも」)を修了後、リモートワークでの仕事と、ライフワークである「絵本の読み聞かせ」とを両立している山田由紀さんにお話をお聞きしました。
山田由紀さん
地元・徳島のIT企業で販売管理に8年従事したのち、鳥取に移住して歯科医院の開業から運営までを約20年間専従者としてサポート。家庭の事情で職を離れるタイミングでとっとりリモートワーカー育成・実践事業に参加し、現在はリモートワークの仕事に携わっている。絵本の読み聞かせがライフワーク。
「でじたる女子プロジェクト」に参加する前のお仕事や、ご自身の状況を教えてください。
地元・徳島のIT企業で、販売管理事務として8年ほど働いていました。自社開発のERP(基幹システム)を使って、受注から出荷、売上登録、入金まで、一連の管理業務を担当していました。ある程度役職もつき、若手社員の教育や業務改善などにも取り組んでいました。
その後、結婚を機に相手方の地元である鳥取へと移住しました。歯科医院の開業をサポートするためです。土地探しから資金計画書づくり、労務管理、受付業務まで、専従者として治療以外のほぼすべての業務に携わりました。
それから20年ほど経ち、家庭の事情もあって新しい仕事を探しはじめたのが2022年のことです。当時既に50代半ばにさしかかっており、新たな仕事が見つかるかどうか、正直不安も大きかったですね。経験のある事務職の求人をハローワークなどで探してみたものの、なかなか希望する収入には届かないし、これまでのキャリアに自分なりのプライドもあったので、経験が活かせる仕事が見つからずに悩んでいました。
どのような働き方や生活スタイルを目指していましたか?
譲れなかったのは、ライフワークである絵本の読み聞かせを続けられることです。15年以上継続して積み上げてきたキャリアを途絶えさせたくない、という気持ちがとても強かったんです。週2回ほど保育園で読み聞かせを行っていたので、フルタイムの仕事は務まらない一方、パートでは望む収入に届かないことが悩みの種でした。

山田さんのライフワークである「絵本の読み聞かせ」の様子
「でじたる女子プロジェクト」に参加したいと思った理由は何ですか?
この先の働き方に悩んでいた時に、鳥取市のLINE公式アカウントをなんとなく見ていて目に留まったのがこのプロジェクトでした。説明会で森山さん(MAIA執行役員)の熱いお話を聞いて、「これしかない!」と思いましたね。チャットで質問しながら学べること、リモートで仕事ができることなど、今まで見たことのない世界にとてもワクワクしたのを覚えています。もともと新しいことに挑戦することが好きなので、大きな可能性を感じました。
一方で、自分の周囲にはリモートワークをしている人がいなかったため実感を得にくく、「本当にリモートで働くことができるの?」と不安があったのも事実です。でも、鳥取県のバックアップがあると思うと安心できて、思い切って飛び込んでみようと思えました。
実は、これまでの仕事にやりがいや責任は感じていたのですが、キャリアとしては広く浅く、何一つ極められていないことには焦りを感じていました。経理には会計士が、労務には社労士がいて、その道の専門職にはかないません。プロジェクトへの参加に際しては、「これができます!」と自信を持って言えるものを得たいという思いもありました。
学習を進めるなかで、どんなことが印象的でしたか?
過去にIT企業で販売管理をしていたため、その経験が活かせるのではないかと思い、SAPコースを選択しました。学習を進めていくと、「あの時やっていたのはこういうことだったのか!」と当時の仕事の記憶がどんどん蘇ってきて、経験が棚卸しされていく感覚がとてもおもしろかったですね。経験が活きているのを感じました。
苦戦したのは、SAPコースの修了テストのエビデンスの作成です。資料をつくるのに手こずりましたが、なんとか乗り越えられました。
どうやって学習のモチベーションを維持していましたか?
「この先自分はどうしたいのか」を具体的にイメージすることを大切にしていました。この先自分自身で収入を得るにはこれしかないと思っていたので、修了後にリモートで全国の人と一緒に仕事をしている自分を想像し、それを糧にして学習に臨むようにしていました。
また、新しいスキルを学んでいることを身近な人に宣言してしまうのもおすすめです。応援してもらえるし、「やっぱりダメだった…」なんて言いたくないから頑張ることができる。私はSAPを学んでいることを子どもに伝えていたのですが、気にかけてもらえることがモチベーションにつながりました。大事な人に自分の頑張りを伝えておくことも、ひとつの手だと思います。
あとは、やる気がおきない日でも、何かひとつでいいので学習から離れないようにしておくと良いかもしれません。何かひとつ入力してみたり、Slackの質問のやりとりを読んでみたりといったことも、大切な一歩です。こつこつ積み重ねていくことで、結果的に大きな成長につながるものだと思います。
でじたる女子のSlackコミュニティでは、どのようなコミュニケーションがありましたか?
コースの受講生同士Slack内でコミュニケーションできるのですが、やりとりがとても活発で、質問すれば誰かがすぐに答えてくれるのがとても印象的でしたね。他の人の質問のやりとりを見るだけでも学びがありました。
また、月に一度のオンライン質問会も良かったですね。他の受講生の方々と悩みごとを共有しながら進められるので、直接顔を合わせずとも一体感を感じることができて、とても心強かったです。
実は、過去に通信制大学や通信講座などで学んだ経験があるのですが、わからないことがあっても質問しにくかったり、自己完結型で同期のような存在ができず交流がなかったのが、学習の継続において課題に感じていました。「でじたる女子プロジェクト」ではたくさんの方々との交流が励みになり、最後まで走り切ることができました。
現在の働き方や業務の内容について教えてください。
修了後すぐに、MAIAさんの紹介案件でリモートワークの仕事に就きました。Excelを使ったレポートや資料作成がメインのPMO業務です。コースで学んだこととは異なるお仕事ですし、扱うデータ量も膨大だったので初めのうちは苦労しましたが、今では業務にも慣れてスムーズにこなせるようになりました。
この業務に携わって1年になりますが、SAPの学習を通じて身につけた一連の取引の流れへの理解が、レポート作成においても役立っているのを感じます。「この項目を追加して」「このデータが欲しい」などのご依頼を受けた時、きちんと意図を理解したものをつくることができるんです。立ち上がってすぐの案件だったので、マニュアルも整備されていない中で初めて尽くしの挑戦でしたが、レポート作成の数を重ねていく度に気づきも得られ、自分の中にも少しずつ自信が生まれてきました。
また、受講中にSlackでのコミュニケーションの仕方を吸収できたのが、結果的に今の仕事でも活きています。わからないことがあったら、その箇所をキャプチャして説明を添えて聞くことや、自分で抱え込まずにすぐに質問すること。それ自体がリモートで働く際に必要なことであり、受講がそのままお仕事の研修のような役割も果たしていたんです。
どんな時に仕事のやりがいを感じますか?
初めのうちはタスクをこなすことで精一杯でしたが、最近「もっと効率よくできるのでは?」と業務の効率化や改善提案ができるようになったことが、一番のやりがいです。これまでの半分の作業時間で終わらせる工夫をしたり、依頼内容を深掘りして「こうしたほうがいいかもしれません」と提案したり、仕事に主体的に関われるので楽しんで取り組んでいます。
最近では、ゼロからのタスク立ち上げにも挑戦しました。ミーティングをセッティングし、ヒアリングを行い、手順書をゼロからつくったりと、とても嬉しい経験となりました。
働き方はプロジェクト参加の前と後でどう変わりましたか?
リモートワークの業務委託という働き方は、私にとってはメリットが多いです。現在の案件では、受け持つタスクをしっかり果たせていれば稼働する時間帯を調整することができるので、一番の希望であった絵本の読み聞かせとの両立も無理なくできるようになりました。通勤がなくなった分体力的な負担も減り、精神的な安定につながっています。
今後、挑戦してみたいことはありますか?
今までネックに感じていた広く浅い経験をむしろ活かして、ちょっとした困りごとに寄り添いながら、身近な方々の力になれたらと思っています。専門家に頼むほどではないけれど、誰かに聞きたいことって結構あると思うんです。そんな時に「山田さんに聞いてみようかな」と思ってもらえるように、自身の経験を記す形でポートフォリオサイトもつくり直しました。

山田さんのポートフォリオサイト https://twill-link.jimdosite.com/
また、グラミン日本さんが主催するシングルマザーの起業支援ワークショップに参加して、自分がやりたいことやミッション・ビジョン・バリューを考える中で、「やっぱり私は絵本に関する活動を、事業として本格的に広げていきたいんだな」と再確認できました。家庭文庫をもう少し充実させて、小学生や高校生にも来てもらえる場所にしていきたいですし、読み聞かせの延長として、年齢別に絵本を届けるサービスなんかもやってみたい。ただ本を届けるだけではなく、読んだあとのフォローもできるような仕組みをつくりたいんです。
読み聞かせというアナログなものに、リモートワークの経験を活かしたデジタルの考え方を掛け算することができたら、私らしいサービスをつくれるのではないかと感じています。「でじたる女子プロジェクト」に参加していなかったら、そんな発想すら浮かばなかったと思います。本当に、この世界に飛び込んでよかったです。
受講を検討している方へメッセージをお願いします。
「でじたる女子プロジェクト」に参加して、本当に世界が広がりました。リモートで働くことに初めは不安もありましたが、思い切って飛び込んでみたら世界が一気に広がって、自分自身の可能性にも気づくことができました。
何より、子どもが「お母さん、なんかおもしろいことしてるね」と言ってくれるのが嬉しくて。これから社会に出ていく子どもに、「働き方っていろいろあるんだな」「途中からでも人生は変えられるんだな」ということを見せられたらいいなと思っています。
もし今、少しでも「今の生活を変えたい」「新しいことに挑戦したい」と思っているなら、「でじたる女子プロジェクト」での学びはきっと力になります。新しい世界に出会うことで、自分の中の「まだ知らない可能性」に気づけるかもしれません。少しでも迷っているなら、ぜひチャレンジしてみてください。
◆「でじたる女子プロジェクト」について
MAIAでは日本全国で地方自治体や企業とのコラボレーションを推進し、RPAやSAP、WebデザインなどのITスキル育成・就労支援を行っています。また、プログラムの一部コンテンツについては、個人の目的やペースに合わせて学習できるようサブスクリプション型の「でじたる女子+(プラス)」にて個別に提供を行っています。
でじたる女子プロジェクト 公式ページ https://digital-women.maia.co.jp/
でじたる女子+ 公式ページ https://digital-joshi.maia.co.jp/