テレビ業界からIT業界へ。時間の余裕が生まれ、念願の資格にも挑戦できた。 —「SAP女子プロジェクト」2期生 中村詩織さんインタビュー

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MAIAでは女性がライフスタイルの変化に影響されずに自分らしく働きつづけられるよう、「でじたる女子プロジェクト」「でじたる女子+」を通じてスキル習得の支援を行っています。今回は「SAP女子プロジェクト」2期で学び、現在株式会社ライフ&ワークスでスキルを活かした業務に従事している中村詩織さんにお話をお聞きしました。

中村詩織さん
テレビ番組制作会社でアシスタントディレクターやディレクターとして働いたのち、キャリアチェンジを目指して「SAP女子プロジェクト」2期を修了。2023年4月に株式会社ライフ&ワークスに転職し、現在はSAP SuccessFactorsのコンサルティング業務に従事している。

「でじたる女子プロジェクト」と出会う前の状況について

もともとはテレビ番組の制作会社で働いており、アシスタントディレクターを2年、ディレクターを7年ほど経験しました。責任あるポジションを任せていただき、皆さんが見ているような番組も担当していたので、仕事は楽しく充実していましたし、思い描いていたようなキャリアを積み重ねられていると感じていました。

そのため、働き方についても当時は特に何も感じていませんでした。新卒からずっとテレビ業界で、周りの友人も皆映像業界で働いていたので、いわゆる一般企業の働き方を知らなかったんです。土日に休みがとれなかったり、収録が深夜まで続くことも珍しくありませんでした。

「でじたる女子プロジェクト」に参加したいと思った理由はなんですか

仕事は充実していた一方、もともと学生時代からITに興味を持っていたこともあり、ずっと「別の業界を経験してみたい」という想いを持っていました。大学のパソコン室でWordやExcelを学生に教えるアルバイトをしていたこともありますし、常駐しているシステムエンジニアの方の働きぶりを見て「いいな」と思っていたので、ITに関する業務はきっと自分に合っているのではないかなと。「手に職を持ちたい」という気持ちが、昔から強かったのだと思います。

ITの中でも、プログラミングを今から学び始めるのは年齢的にもう遅いのではないかという危惧もあったので、この年齢からでも学べてちゃんと需要が見込めるものを探していた時に、「でじたる女子プロジェクト」の中の「SAP女子プロジェクト」の存在を知り、興味を持ちました。

やはり気になったのは、SAPを学ぶことができる点です。通常であれば、SAPが導入されている会社に所属していて、且つ会社から指示を受けなければなかなかSAPの講座を学ぶことはできないものです。それをIT未経験のフリーランス(* 中村さんは、受講を控えたタイミングで制作会社を退職)でも学ぶことができるのはSAP女子プロジェクトぐらいだったので、とても貴重な機会になるはずだと考え、受講することにしました。

「でじたる女子プロジェクト」での学習について教えてください

受講前に会社を辞めてフリーランスになっていたので、受講期間は仕事を入れずにしっかりと学習時間を確保して臨みました。

学んでいく中で「難しいな」と感じたのは、内容的に経理や簿記の知識が必要だった点です。それらを勉強して資格をとるのが理想だとは思いますが、そこまでの時間はなかったので、授業の動画を見ながらメモをとり、わからない単語などがあれば調べて理解するように心がけてきました。

最初の2,3講座ぐらいまではいい感じだったのですが、徐々にそうやってわからない単語や理解が難しいパートが出てくると、自ら意識してモチベーションを維持しなければいけない場面も出てきました。それでも頑張れたのは、Slackのコミュニティのおかげです。自分よりずっと早く進んでいる人の投稿を見かけて触発されたり、「今の段階ではこの辺りまで進めておくといいですよ」とMAIAの方々が引っ張ってくれたので、最後まで走りきることができました。

現在はどのように働かれていますか

でじたる女子を対象とした募集を見かけて応募したことをきっかけに、2023年4月から株式会社ライフ&ワークスで働き始めました。現在は保守運用案件と開発案件の2つに参画し、SAP SuccessFactorsに関する領域を担当しています。

保守運用では、導入先の社内の評価制度の変更に合わせてテンプレートの改修を行ったり、実際にその設定を行ったり、レポートの作成や要件定義などにも関わっています。開発の方はより大きなプロジェクトとなっていて、私は要件定義書の改訂やテストシナリオの作成、設定業務などを担当しています。

業務で扱うのは受講中に学んだ販売管理に関する領域ではなく人事領域なので、違いはありますが操作性は近く、SAPを学んだことが役立っています。領域は違っても、見たことがある画面や知っている操作性のソフトであれば「こう操作したらこうなるのではないか」など見当を付けることができるので、心理的にはだいぶ楽に感じるものです。

また、実際に講座で学んだ内容をそのまま活かせる場面も多く、特にテストシナリオの書き方やエラー報告の書き方などが役に立っています。やはり最終的にどんなものをつくればいいか知っていると、作業のクオリティもスピードも上がります。講座の中で定義書などの資料のまとめ方を見ていたので、自分でつくる際もその時のフォーマットを踏襲したら、会社の方にも褒めていただきました。

IT業界の仕事や働き方の、どこが良いと思いますか

エラーを属人的なものとしない考え方が定着しているのが良いですね。IT業界では「エラーは出て当然」であり、誰か一人に責任を押し付けることなく「どう対処していけばいいか考えよう」という考え方が基本となっているのが素晴らしいなと感じています。

また、作業の手順を明確にして、その進捗も全て共有するのが当然とされているのも良い点です。誰かに作業を依頼する際には必ず手順を明記したり、複数人の作業者がいる場合はExcelなどで「今誰が何をしているか」を一元管理したりするIT業界の仕事の仕方は、初めはかなり衝撃的でした。「聞いていません」「想定と違った」などの認識の相違をなるべく減らそうという意識があるのがとても良いですし、手順書や指示が明確なので、初めての人でも業務に取り組みやすいのではないかと思います。

働き方や生活には、どのような変化がありましたか

毎日現場に出向いていた前職と異なり、ほぼずっとテレワークとなり、働き方は大きく変化しました。当初イメージしていた通り、むしろそれ以上にいい形で働けているのではないかと思います。ライフ&ワークス社は休みもとりやすく、スケジュールもきちんと余裕を持って組まれているので、名前の通り「ライフ」を大事にしているのを感じます。以前は土日祝日も常に仕事のことばかり考えているような生活でしたが、現在は仕事の日と休日とでメリハリもできて、生活が豊かになりました。

そうして時間的な余裕ができたことで、趣味や自分のことに使う時間を確保することができるようになりました。もともとインテリアコーディネーターの資格取得を目指して受験もしていたのですが、2次試験で落ちてしまっていたんです。再度23年12月に受験し、無事合格することができました!資格取得のための勉強は本当に大変だったので、今の働き方でなければ両立できなかったと思います。

直近は現在の仕事をしっかりやりたいですが、もともとインテリアコーディネーターと迷っていた時期もあったので、ゆくゆくはどちらか一つではなく二つとも両立できたらいいなと思っています。

インテリアコーディネーターの資格取得を目指して学び、無事合格!

最近仕事でうれしかった瞬間はありますか

実は昨年末の社員会で、全社員の前でプロジェクトの成果報告をする役割を担当させていただいたんです。社員会とは、3か月に1回ほどの頻度で、ライフ&ワークス社とグループ会社のオデッセイ社の社員が全員集まって、ホテルなどで開催されるイベントです。基本的にはプロジェクトリーダーや部長などが営業成績報告、海外出張報告、完了プロジェクト報告などを行う場なので、それを新人が担当するのは珍しいらしくて。自分としては「やるしかない!」といった感じでしたが、そういった場をいただいて、どういう仕事をしているのかを発表を通じて知っていただくことができたので、私にとっても良い機会になりました。

これからの展望について教えてください

まずは簿記やITパスポート試験など、仕事に関係する資格をいくつか取ろうと思っています。なぜなら、やはり私のように変わった経歴を持っていると、どうしても「ITのことを本当にわかっているのか?」と懸念を持たれてしまうから。プロジェクトにアサインされる際にはプロジェクト経験や担当領域の確認などがありますが、そういった時もやはり年齢に対してプロジェクトの実績数が明らかに少ないのが目立ってしまいます。「新人が来ちゃったか……」とネガティブに捉えられることのないように、そしてしっかりと基礎を理解していることを証明するためにも、やはり資格を取りたいですね。

最後に、これからでじたる女子を目指す方へのメッセージをお願いします

ITの仕事は、もともと事務職をやられていた方や接客をされていた方などでも、十分目指せる仕事だと思います。私も全く畑の違う業界から挑戦して転職することができました。現在全く異なる業界で働いているからといって「私には無理」などとは思わずに、是非挑戦してみてほしいなと思います。

 

◆「でじたる女子プロジェクト」について
MAIAでは日本全国で地方自治体や企業とのコラボレーションを推進し、RPAやSAP、WebデザインなどのITスキル育成・就労支援を行っています。また、プログラムの一部コンテンツについては、個人の目的やペースに合わせて学習できるようサブスクリプション型の「でじたる女子+(プラス)」にて個別に提供を行っています。

 

でじたる女子プロジェクト 公式ページ https://digital-women.maia.co.jp/
でじたる女子+ 公式ページ https://digital-joshi.maia.co.jp/

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