DXに関する専門人材を県と20市町でシェア〜愛媛県における「高度デジタル人材シェアリング事業」展開実績〜

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MAIAは愛媛県・市町DX推進会議*が行った公募型プロポーザル「高度デジタル人材シェアリング」の事業を受託しました。愛媛県と県内の20市町が共同で専門人材を確保し、それぞれの自治体でシェアすることでDXを推進することが目的です。

*愛媛県・市町DX推進会議とは…県と市町が協働でDXを推進するために設立された会議体。愛媛県と県内20市町で構成される。

今回は、2022年度の取り組みについてMAIAから見た成果などを紹介します。

愛媛県が抱えていた課題

愛媛県はDX戦略を策定し、戦略の方針の1つに「県と市町との協働」を据えました。しかし、県及び各市町はDX推進のための知見を十分に有している状態ではありませんでした。また、DXを実行するためには外部(県外)の専門人材の知見を活用することも必要ではあるものの、各市町が個別に専門人材を確保することは予算面や体制面などさまざまな理由から困難なものでした。

愛媛県・市町DX推進会議がMAIAを選んだ決め手

各自治体が人的負担や財政負担を抑えながら、高い専門性を有する外部人材を効率的に活用することを広域的に実現する「シェア」の仕組み、それを実現する3つの業務のクオリティが決め手になったと考えています。

次項にて、「シェア」の仕組みと3つの業務について紹介します。

「シェア」の仕組みと3つの業務

① 愛媛県・市町DX推進専門官の配置
② チーム愛媛DX推進支援センターの運営
③ ①と②を通じて、知見共有、機運醸成、相談、助言、訪問支援、ネットワークマッチングをおこなうこと

①愛媛県・市町DX推進専門官の配置
デジタルを5つの分野に分け、それぞれの分野に対して1名の専門官を配置。県内の20の市町の相談に応じて知見提供や助言、提案、市町が求める人材や企業とのマッチングなどを行います。

(1)デザイン思考、UI・UX分野
(2)システム・セキュリティ分野
(3)データ利活用分野
(4)官民共創分野
(5)広報・マーケティング分野

② チーム愛媛DX推進支援センターの運営
チーム愛媛DX推進支援センターは事業に関わる全ての主体との連絡や調整をおこない、効率的・効果的な運用を担当しています。

今回の事業には、県・20市町・5名の専門官という26の主体が存在し、これらに加え関係各所との様々な連携も想定すると、非常に多くのコミュニケーションの動線があります。業務が効果的に実施されるためには、この多種多様なコミュニケーションの動線との連絡・調整を効率的かつ効果的に運用することが非常に重要な要素となり、この運営をチーム愛媛DX推進支援センターで行っています。

5分野の専門官からのコメント

5つの専門分野に専門官がついていることが特徴です。それぞれの専門官が行った支援や成果を紹介します。

山形専門官(システム・セキュリティ分野担当)

基本的なクラウド活用への関心が高かったことから、クラウド活用を起点としたネットワークに関するインプットを実施。その中で、情報セキュリティや制度的な課題が見えた。近隣自治体でのちょっとした情報交換で解決できることも、土壌が薄いと感じたことから、テスト的に主に人口5万人以下の市町をターゲットに、コミュニティ形成を図った。

前田専門官(デザイン思考・UI・UX分野担当)

ユーザー本位のDXという「デザイン×DX」両面の本質を伝えるため、複数市町に個別でワークショップ研修を実施。「デザインといえば装飾」といった部分的な解釈がなされがちだが、本質的な考え方を理解する必要がある。今年度の活動集を作成中だが、ある工夫のもと作成を進めているため、ユーザー目線とは何か、を感じてほしい。

下山専門官(データ利活用分野担当)

ワークショップ形式でのEBPM推進とデータ利活用人材育成のモデル創出に取り組んだ。その中で、近隣自治体との連携や、ネットワーキングを意識。中予圏域で先行的に策定されていたガイドラインをベースに、国のデータ戦略やデータ標準化の流れも踏まえアップデートしたガイドライン案及びデータ作成マニュアル案を作成したので、今後の議論に役立ててほしい。

小田専門官(官民共創分野担当)

「官民共創」とは何か、どういったテーマに向いているのか伝えるところからであったが、秋頃からいくつかの市町で具体的なテーマが見え始めた。今年度ホットなトピックであったマイナンバーカード取得率向上施策や利活用事例集の形で報告書を作成する。個別の相談は事業性や独自性を求められるものが多く、横展開や情報開示が難しいが、事業化ののちに、他市町にも情報連携していくものと考える。

藤田専門官(広報・マーケテイング分野担当)

広報・マーケティング分野における「ターゲット、ペルソナ設定の重要性」を伝え続けてきた。複数市町で個別にこうしたワークショップを開催したが、日常の業務に生かす方法まで理解に落とし込めたかというと、まだまだである。また、前期ヒアリングの折、SNSアカウントの乱立、アカウント増加に伴う業務量増加、そもそものノウハウ不足という相談が目立ったことから、具体に相談を受けた市町のSNS媒体の整理、統廃合に着手し、現状把握や現状に合わせたネクストステップを定めることができた。

引用:愛媛県・市町DX推進会議 公式note https://ehime-pref.note.jp/n/nfe5dd374d87b

アナログなコミュニケーションの重要性

オンラインでのヒアリングや打合せでは、お互い遠慮があり意思疎通や本音の話がしずらいなど実のある話になかなか繋がりませんでしたが、専門官が実際に市町を訪問したことが転機となり専門官と市町の距離がぐっと縮まりました。2022年8月から訪問支援を開始し、2023年3月末時点で計100回を超える訪問を行いました。(1回=1人の専門官が1市町を訪問。2人が同時に1市町に訪問した場合は2回)

また、県及び市町の職員と、チーム愛媛DX推進支援センターのセンター長や専門官が集い、サマーキャンプとウィンターキャンプを行いました。全庁的なDXの機運醸成を目的とし、各自治体の事例共有や参加者同士の意見交換を行ったことで、一体感が生まれるきっかけとなりました。

具体的な成果、関係自治体からの評価について

業務計画目標を達成し、市町の職員を対象にしたアンケートでは80%以上から満足しているという評価をいただきました。

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